罠の落とし穴

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「ナツ、せっかく可愛い顔してるんだからもうちょっと女の子らしくしたら?」



すっかり腐りきった縁の敦がそんな事を言ってきたのは、学校の帰り道。

遠くに背の低い山があって、水が張られたばっかりの田んぼに挟まれた細い通学路。
ずいぶん前を歩いていた敦の背中をそぉっと追っかけて、
家に入ろうとしているところをワッって思いっきり叩いたら思ったより痛かったみたい。

びくってなって驚いた顔が笑えたのに、すぐ反撃された。
人が気にしてる事をコイツは、澄ました表情でため息混じりに言う。

なんとなく伸ばしていた髪を邪魔だからってばっさり耳のあたりで切っちゃった時も、
直火にかけちゃって油分が分離したチョコを「義理チョコだよ」って渡した時も、
似たような事を言われた覚えが。

そういう敦なんて昔っから弱虫で、
小学校なんて、前ならえでずっと腰に手を当ててるチビッ子だったくせに。
男らしさのカケラもないような奴にそんなこと言われたくない!

今だって、そりゃあ整った顔はしてるけど、文系でカラダの線は細い方だし、
なーんか、男って感じで見れないんだよね。
そんなことを思いながら、
気持ちが反映されたみたいに勝手に尖ってた口で悪態をつく。



「敦だって別に男らしくないじゃん!」



そう言って思いっきりしかめた顔で応戦する。



「心がけの問題だよ」



すると、さらっとかわされた。しかも正論で。
ぐっとつまりそうになるのをこらえて、精一杯、見栄をはって私は言った。



「わたしだって女らしいところくらいあるわよ!」



えへん、と、腰に手をあて威張るポーズをとる。
すると敦は、どこが?という空気を滲ませながら訊き返してきた。



「例えば?」
「う……例えば……時々お母さん手伝う」
「時々ね」
「く……。心身ともに成長した」
「……それで、ねぇ」



敦の視線が頭のてっぺんからつま先まで、すーっと下りていく。
冷やかなその態度に、私は思わず持ってた鞄を叩き付けそうになって堪えた。

なにかといちいちムカっとする!敦のくせに、反抗期?
そりゃあ確かに今の私の背は敦よりだいぶ小さいし、
童顔のせいか実年齢以上に見られたことはない。

けど!

私は小さい時から滅多に泣いたりしなかったし、
そこらへんの男子よりもずっとたくましく遊びまわってた。
よっぽど敦なんかより、私の方が強い。

それなのに更に、



「ナツはもうちょっと素直になったほうがいいよ」



だなんて、わかったような事言ってきた。

敦なんて、ちっちゃい時はちょっとからかうとすぐびーびー泣いて、
「いじわるしないでよぅ」とかっていじけてたくせに。
毛虫が怖いだの、ザリガニが触れないだの、
押しつけてやったらすぐべそかいて。

小学校に入ってからだって、かくれんぼの時にいじわるして体育倉庫に閉じ込めたら、
おしっこ漏れるーとかって泣きそうになってたくせに!

中学に入って私と同じくらいの背になって、高校に入ってすっかり背だけ抜かれて、
それでも色白の肌に線の細い敦はどうやっても、私の中ではヒヨッコのまま。



「敦むかつく!生意気!泣き虫敦のくせに」
「はいはい」



ますますムカァッと腹が立った。
小さい子のダダをなだめる大人みたいに、冷静に対処されると余計に!
なに自分だけ余裕ありますみたいな態度とっちゃって!



「背と一緒に態度まででかくなったんじゃない!?かわいくない!」
「……はいはい。じゃあね」



後ろ姿でひらひらと手を振りながら、敦はバタンっ、とドアを閉め家の中に消えていった。
私はぽつんと敦の家の玄関先に取り残され、ついでにムカムカする気分まで残された。
電線に止まってる雀がチュンチュンと平和そうにさえずってる。

あいつ……腹立つ!
絶対仕返ししてやる!
ごめんなさい、悪いこと言いましたって言わせてやるぅ!

そう、行き場のない怒りに、ぐっと心の中でこぶしを握った。







そして練りに練った作戦はいたって簡単なところに落ち着いた。
結局のところ、ヤツの恥ずかしい弱みを握ってしまえばいいのだ。

自分は心がけの問題は解決済みみたいに言っちゃって。
みっともなくうろたえる姿を暴いてやる!
そうすれば、あの生意気になってしまった態度も改まるというもの。
見てろよ~!!!
私の頭の中ではすでに敦が平身低頭、ペコペコと謝る姿が浮かんでいた。


そうと決まると善は急げ。
私は早速お兄ちゃんの部屋へ忍び込み、
ベッドの下にこっそり隠されたエロ本を調達する。
といっても、お母さんも私も掃除の時に見つけて知ってるから、
正確にはうまく隠されてはいないんだけど。

ベッドとマットレスの間、よいしょ、と力を入れてマットレスを持ち上げると、
取り出しやすい手前に一列、計3冊の雑誌とDVDらしきパッケージ。

その中からできるだけ過激なやつを物色し、中身をぺらぺらとめくる。
って、お兄ちゃん……こんなの好きなの?
うあ、SMっていうの?これ。うーわー……。

大人の世界だわー。
……こんなのモザイクって言えるのかな。
モロ見えてますけど……。


はー、縄で縛るとかだけじゃないんだ。
んく。

ずいぶん愛読してるのね。折りクセがいっぱい。

処女の私には刺激が強いわぁ……。
なんかすごくほっぺた熱くなってきちゃった。
これなら敦なんて確実にイチコロね!
照れて照れて、それはもう恥ずかしく真っ赤になってうろたえること間違いなし!


エサを調達した私はいち早く目的を達成すべく、エロ本と勉強道具を鞄に詰め込むと、
その足で敦の家に向かった。
歩いてほんの5分程度のとこに敦の家。
とは言っても、このあたりには家なんて他にはそんなにない。
田んぼと、空き地と、家がぽつんぽつんとあるような地区。
ピンポンを鳴らすと、まだ制服姿の敦がドアから顔を出した。



「ナツ?どうしたの?」
「えっとねぇ、ちょっと勉強教えて欲しいトコあるんだけどいい?」
「……勉強?気持ち悪いくらい珍しいね」
「……うん。テストも近いしね、学年トップの力にあやかりたいなぁと思ったんですよ」
「へー…………で、本当はなに?」



幼い頃にさんざん私にからかわれ騙された経験のせいか、とりあえず敦は私を疑う。

ほんっと可愛くなくなった!
昔は「なっちゃん待ってよ」って、ちょこまかついて来てたのに!



「ぐ……本当よ!いいじゃん、敦どうせ暇でしょ!?」
「まあ、いいけど……ナツ、わかんないと怒るからなぁ……」
「怒んない!約束する!」



そう言うとしぶしぶ敦は私を家に入れてくれた。
トントンと階段を上がりながら、相変わらず生活感の薄い家の中を見ながら尋ねる。
玄関も廊下も階段も、どこもすごくきれいなんだけど、
掃除が行き届いてるっていうよりは、汚れるほど使われてないように感じる。



「おばちゃんは相変わらず?」
「ああ、そうだね。もう3日くらい顔見てないなぁ。夜遅くて朝早いからね」



敦の家は母子家庭。
さらにお母さんはすっごくお仕事がデキる人だから、家にいないことの方が昔から多い。
だからか昔は本当に、敦ってば淋しがりで泣き虫だったんだよね。

敦の部屋も、すごくシンプル。
スチールの簡単なパイプベッドに勉強机、本が並んだラックも金属で薄っぺらいパソコンが置かれてる。

私は敦の勉強机に鞄を置くと一応、形だけ持ってきた教科書とノートを出した。



「敦~、のど渇いた。お客様にお茶お出しして!」
「わがままな客だなぁ……。お茶でいいの?」
「じゃあ、コーヒー。あ、冷たいのがいいなー」
「……贅沢な客だなぁ……」



私がそう言うと、敦はぶつぶつ言いながらキッチンに下りて行った。

私はこの隙に、鞄の底の方に入れていたお兄ちゃん愛読の過激エロ本を取り出すと、
特に折クセの多いページを開いてベッドの上に置いた。


作戦では、
敦が部屋に入ってくる→ベッドのエロ本を見つける→絶句する→真っ赤になって照れる
→やーいやーいって冷やかす→敦うろたえる→男らしくない事を認めさせ、ごめんなさいって言わせる。


……完璧。


くふふとほくそ笑んでいると、トントンと階段を上がる足音が聞こえてきた。
私はドキドキ鳴る心臓を落ち着かせながら、机に向かい勉強をしているふりをする。
適当に開いた数学の教科書は、まだやってない範囲だったけどそんなことどーでもいい。

ガチャリとドアが開き、敦が部屋に戻ってきた。



「ミルクと砂糖は入れるんだよね。はい、どうぞお客様」
「あ、どうもどうも」



そう言って敦は机にグラスを置いてくれた。
ドキドキしてるせいで渇いた喉を潤わすべく、ゴクゴクと一気に半分飲み干す。
そうしながら私は笑いそうになるのを必死でこらえて、敦の動きを耳で追う。

腰を下ろそうとベッドに向かった敦の動きが、ぴたっと止まったのを、私は聞き逃さなかった。

ふふふ……今頃顔が赤くなって、どうしようどうしようってオロオロしてるはず!

そう思って、そーっと後ろを振り向いて、エロ本の置かれたベッドを見ている敦の後姿を見た。


あれ?耳は赤くないなぁ。敦が照れる時って、耳まで本当に真っ赤になるのに。
そう思ってると、くしゃ、と敦が前髪をかきあげた。



「はー………………」



真っ赤になるどころか、敦は長い溜息までついてる。
あれ?なんで??

様子をうかがっていると、敦は何か考え込むように俯いた。
照れないなんて想像もしてなかった私は、違う意味でドキドキしてきた。
もしかして、呆れられたりむしろ怒られたりする?


ものすごく長く感じる時間、黙り込んでた敦が口を開いた。



「これ、ナツがわざわざ持ってきたの?」
「えっ、あ、なに?なんのことっ?」



ひどく落ち着いた声で聞かれて、私はしどろもどろになる。
エロ本以外にないのはわかりきってるのに。

そしたら敦の身体が動いた。
私は慌てて教科書の方に目を戻し、身体を固める。



「これ」



そういって敦は、机に向かう私の背後からエロ本を私の目の前に差し出してきた。
身体を縄で拘束され、ベッドに転がされた全裸の女性と目が合った。



「っ!」
「何かに腹立って、これでからかおうとか思ったんでしょ、どうせ」



う。バレてる。行動理由も読まれてる。

ぐぅの音も出ない状態にさせられて、私はつい黙ってしまった。
そしたら敦が、低くて静かな声で言ってきた。



「…………あのね、ナツ。あんまり、男も……俺も、ナメちゃだめだよ」
「なっ……によ、それ」
「そのまんまの意味。女の子らしくしろって言うのは、男の事をちゃんと男と思えって事でもあるんだよ」
「……意味がわかんない。敦なんて、別に全然男らしくないじゃん!」



精一杯の負け惜しみ。
声が震えそう。
けどあとに引けない天の邪鬼な性格で、つい、悪態をついてしまった。

ガッ!と音を立てて、敦の両手が机につかれた。
椅子ごと、私の体が机と敦に挟まれる。



「なっ!に、するのよ……!」



心臓が飛び出るかと思った。
敦が大きな音を立てることなんて滅多にないのに。
背中に、敦の身体が少し触れてる。



「はー…………。ナツが悪いんだよ。わざわざ挑発して」
「挑発って……!私そんなことしてない」



何度目かの溜息をつきながら、敦がつぶやく。



「じゃあ覚えて。これは挑発。こんなもの見せられて、
 その上そうやって強がってるの見ると、男は征服欲が沸くんだよ」
「なによ、それ……なに言ってんの?」



完璧、声が震えた。
せいふくよく?なにそれ。
どういうこと?というよりもこの状況はナニ?



「人がせっかく何とか我慢してやってたのに。
 自分から捕まりにくるんだもん、ナツはほんとにバカだなぁ」



耳の、すごく近いところで、
息の音まで聞こえるくらい近くで、敦の声がした。
少し笑ったような声色に、背筋がぞくりと震えた。



「い……意味わかんない!もー帰る!敦のバカ!」



もう帰りたい。
仕返しとか、もうどうでもいい。

なにか、危険な感じがする。

ガタンと椅子から立ち上がり、ドアに向かって行こうとした私の腕を、敦の手が掴んだ。
力いっぱいそれを振りほどこうとしたけど、機械に挟まれたみたいに動かない。



「ダメだよ。逃がすわけないでしょ?」



え……なに……?なに言ってるの?

敦は、笑ってる。けど、眼は少しも笑ってない。
怖い。深い、暗い、色。

敦の腕が伸びてきて、そのまま軽々と持ち上げられると、放り投げるようにしてベッドに倒された。



「きゃっ!!いった……!……っ、なにすんのよ!!……っ!」



突然の出来事に頭がついていかない。
なに、いまの、力。

そのまま敦の手が、私の両手を頭の上でベッドに押さえつけてきた。
それどころか、お腹の上に敦の身体が乗っかってきてる。



「っ!!!!やっ!やだ!!なに!?やめてよ!!!!」



脚をばたつかせ、渾身の力で腕の自由を取り戻そうとするのに、びくともしない。

私は焦ってパニックになってるっていうのに、敦は少しも取り乱すことなく、
上から私の顔を見下ろしてる。



「ちょっと!!!いい加減にして!!怒るよ!」



体重をかけられて、手首がぎしりと軋む。
膝で敦の背中を蹴っても、全然効果がない。



「強がるね。犯されそうになってるっていうのに」



くすり、と笑みを含んだ敦の声が降ってくる。
私はその言葉に絶句した。

犯され……?
敦が、私を?
私が、敦に?

さあっと血の気が引くのが自分でもわかった。
敦の笑顔だけは、少しも悪いことなんてできそうにない、
いい人そのものなのに。



「なっ……!ふ、ふざけないでよ……!手、離して!」
「俺なんかの力なら、ナツは自分で解けるんじゃないの?」
「っ……!」
「ナメてる相手に、ナツが負けるわけないよね?」
「く……、いいから……、もういいから、手、離して……!」
「何がいいの?」
「わ……かった。……動かせない……!負けました……それでいいでしょ!?もう、……帰るから……」



悔しい。すごく。
けど、それよりもう、怖い。



「って言って、いつもナツは同じ事するんだよね。反省しないというか、その時だけというか」



敦はいつも私を疑う。
こんな時まで。
私はこれまでの行いをすこし後悔した。



「っ!もうしない。反省した。…………ごめんなさい!もう、いいでしょ!?」



ぐ、と歯をくいしばって謝る。
そしたら敦は、にこりと笑って言った。



「だめ、許さない。ナツが女で俺が男って事も、
 あんまりナメてたら痛い思いするって事もわからせてあげるよ」
「なっ!!っ!え、やだ、やだ!!やめてってば!!!」



そう言うと敦は、制服のネクタイを外して、私の手首に巻きつけてきた。



「ちょ、ちょっと……!!冗談でしょ?もう、絶対しないから、ほどいて!」



バタバタともがく私の抵抗なんて毛ほども影響しないみたいに、
あっという間に手首はネクタイで結ばれた。
その上、そのままパイプベッドにまでぐるぐるとネクタイと手首を縛られて、
ばんざいをしたまま私は動けなくなった。


力を込めて、右に左に手を動かしてみたけど、
むしろパイプに擦れる関節が痛くて、少しの隙間もないその結ばれ方に軽く絶望する。
自力でほどくのはもう無理そうだった。



「……や、やめ、て……」
「んー?なに?弱音吐くなんてナツらしくないね。怖い?俺なんか怖くないでしょ」
「っ……」



見透かされてる。
怖いけど強がってるのも。
敦の事を怖がってるのが悔しいことも。


何も言えなくて押し黙って敦から顔をそらす。



「いい眺めだよ。ナツが暴れるから、丸見え」



くすくすと笑う敦の視線につられて下を見ると、ばたばたと抵抗したせいで、
制服のスカートがめくれて、白いショーツが見えてた。



「ヤッ!!ヤダ!!!見ないで!戻して!!」
「へー、結構可愛いの履いてるね」
「イヤ!!!ちょっと!やめてってば!!!」



そう言って敦は、私のお願いの真逆の行動を……
スカートの裾を持ち上げて、さらにめくった。

手で掴まれてるだけなのに、石で固められちゃったみたいに、
足首は少しも動かせなくて、肩幅に開かれたまま。



「レースがキレイだね。ちょっとピンクの柄もあるし。ブラは?」
「や……やめてって言ってるでしょ!?もう、いい加減にして……!」
「分かってないね、ナツは。さっき言ったよね征服欲が沸くって。
 そうやって抵抗されるほど、こっちはその気になるんだけど」
「っ!!」



敦の手が、制服のブレザーのボタンを外した。
ヤダと言ったらその気になる、
じゃあ、止めて欲しい時はなんて言えばいいの?
混乱した頭の中でぐるぐると考えているうちに、プチン、と、シャツのボタンが外された。



「あっ!!ヤ……やだ……!!敦、やめて……!」
「ふ……なんか懐かしいね。よく俺もナツに苛められてたなぁ。
 俺がヤダって言うことって、たいていナツはしてくるんだよね」



なぜか敦は楽しそうな顔をしている。
それって悪い思い出じゃないの?
なんで楽しそう?



「そうは言っても、もうずっと昔の話だね。ナツも、それなりに成長したみたいだし」
「え……あ、あ!ヤッ!!!!」



ギシッと手を動かし、胸を隠そうとするけど一切かなわない。
ブラに包まれた胸が、敦の目にさらされちゃってる。



「ショーツとお揃いか。ちゃんと女の子らしくしてるんだ」



もうやだ。恥ずかしすぎる……!



「おね……お、願い、だから……もう、止めて。恥ずかしい……から…………」



できるだけ、敦の感情に触れないように、静かに言う。



「分かってないなぁ……」



私の懇願に、敦はそう言って笑った。



「だから、ナツが抵抗してたり、恥ずかしがるのが、俺は楽しいし嬉しいんだって」
「な、に……それ……」
「なにって、ナツが持ってきた本みたいなことだよ。ナツに苛められた反動で、
 すっかり苛めるのが好きな男になったってことかな?」
「そ!そんなの知らない、私のせいなんかじゃないでしょ!ヘンタイ!」
「ナツ、焦ったり図星の時、捲し立てるみたいにして悪口いうの、自分でわかってる?」



微笑みながら、敦が長年の付き合いでわかりきっている私のクセを指摘した。



「!!……」
「てことは、苛めてた自覚はあるわけだね」
「えっ!あ……!やだ……や、だ、……やめて、やめて!!!」



敦の手が背中を持ち上げブラのホックをはずそうとしてきた。
体重を今だけ重くすることも、その手を押さえつけて動かさなくすることも、
どっちもできなかった。

しかも……体に力を入れた時に気づいた。
やばい。……トイレに行きたい。
どうしよう……どうしよう!
なんとか許してもらって、なんとか解いてもらわなきゃ……。



「敦、あつし、お願いします。もうやめてください」
「ん?どうしたのいきなり」



突然変った私の声色に、敦が不審そうな顔をする。



「本当に反省してます。昔……ぐ……意地悪したのも、ごめんなさいでした!」
「ずいぶん素直だね」
「だから……っ!!!や!やめっ!」
「で?」



敦はそう言いながらも、私の言葉は完全にスルーしてる。
ぷちんと音を立て、胸の締め付けが緩くなってしまった。
浮いたカップを、敦の指が摘む。



「で!本当に謝るし、反省するから!お願い、これ、ほどいて!ついでにその手も離して!」
「なんか変だね。そんなに見られたくない?それとも何かあるの?」
「っ!何もないわよ!っ……ない、ですから、ほどいてください……お願い……、します」



一度意識し始めると、ああいうのって気になって仕方がない。
ブラから手も離して欲しいけど、それよりも非常事態が下腹部で起こってる。



「んー……何か分からないけど却下」
「っ!!お願い、やめて!」
「そうは言っても、ここまで見て止めれる男っているのかな」
「え、あっ、あ、ヤ……!」



シャツの前を開けられ、胸がはだけさせられてる。
スカートがすごい捲れて、おへそまで見えてる。



「邪魔だね、スカートも、ショーツも」



そう言って、敦はスカートのホックにまで手をかけてきた。
鼻歌が聞こえてきそうなくらいご機嫌。
私は必死に抵抗をするけど、脛の上に敦の足が乗っててびくりとも動かせない。

しかも、器用に腕と足とを使って私が動けないようにしてる。

スカートのホックが外されると、そのままショーツと一緒に一気にずり下げられた。



「いやぁ!!!!ダメ、ストップ!やめて!いやああ!!」



私の声なんて一切聞こえてないみたいに、
敦は私の足からスカートとショーツを抜き取ると、
足首を掴んで肩幅に開かされた。

何にも覆われなくなったアソコが、敦の目に映ってる。
敦が、私のアソコを見てる……!



「いやっ、いや…………っく……もう、止めて、見ないでぇ……!お願い、止めて……ほどいて……!!!」



風通しの良くなった下半身が、ますますトイレに行きたいって訴えてくる。
家に帰ってから一回も行かずにここにきたし、
コーヒーも飲んだし、もうだめ、屈辱的だけど、言うしかない……だって、このままじゃ……!



「お願い敦!!」
「往生際が悪いなぁ。全部丸見えにしといてなに言ってんの」
「ッッ!それは敦が……!っ、いや……敦、お願い、ほどいて……。
 …………お……おト……イレ、行きたいの……!!」



恥ずかしすぎる……なんでこんな目に合ってるんだっけ。
自業自得なの?
年頃の女の子が、トイレに行きたいなんてこんな状況で言わなきゃいけないなんて……!
でも、気持ちはどんどん焦ってくる。



「あー……それで。やけに腰もじつかせてるなって思ってたんだよ」
「っ、そう……っ、だから……お願い。謝るから、許して!」
「そう言えば昔、俺もトイレ行きたいのに体育倉庫に閉じ込められたよね。アレはきつかったなー」



そう言いながら、敦は意地悪な笑みを浮かべている。
まさかまさか……まさか。その仕返しなんてしないよね……?



「そっ……それも……謝る!ごめんなさい!だからっ」
「どーしよっかな」
「本当に本当にごめんなさいでした、もう二度としません!」
「このままじゃ、布団びちゃびちゃになるね。ちょっと待ってて」



え……?



敦の耳に、私のごめんなさいは一つも届いてないみたいだった。
私の言葉に対する、どうしよっかな、じゃなくて、ただの独り言。
フリーズした私の手首の結び目を、一度きつく締め直してから、
敦は部屋を出て1階に下りて行ってしまった。



え……?



ぐいぐいと手首を動かしてみるけど、指先が少し冷たくなるくらいにぎっちり縛られてる。
しかもすぐ、階段を上がる敦の足音が聞こえてきた。

ガチャ、と部屋に入ってきた敦の手には、
何枚かのバスタオルと、遠足なんかに使うレジャーシートがあった。
また、血の気が引く。
なに、する気……?



「ちょ……ちょっと……敦?……なに……それ…………」
「さあ?」



そういって楽しそうな敦が近づいてくる。
一生懸命身体をよじってなんとかひざを曲げて隠していたアソコを、
敦の手が足首をつかんであっさりと再び露わにしてしまう。
脚を持ち上げられ……赤ちゃんがおしめ替えられるみたいに、
レジャーシートとバスタオルが私のおしりの下にひかれた。

いやだって言い続ける私の声は、これっぽっちも聞いてくれる気配がない。

ぶるっと身体が震えた。
おしっこがしたいせいなのか、敦への怖さなのか、よくわからない。

私、ここまで、本気で止めてって言ったらきっと止めてくれるって……心のどこかで思ってた。
そんなひどいことしないよねって、だって敦だもんって、思ってた。
ナメてた。



だけど。



「…………あ……あつ……し、…………お願い、やめて……」



身体が小刻みに震えてる。
怖い……敦が、怖い。
カサカサの口から、懇願する。



「やめないよ」



小さい子をあやすみたいに、敦の指が私のほっぺたを撫でてきた。



「言ったろ?我慢してたって」
「……ッ……!」



私の身体にのしかかって、敦の目が私を見下ろす。
そしてそのまま自分の服を脱ぎだした。
カッターシャツのボタンをはずし、下に着てるTシャツを脱ぐと、
見たことのない男の裸が目の前に現れた。

筋肉がたっぷりついてるわけじゃないけど、
引き締まってて無駄なところが全然ない。
筋っぽい腕に、堅そうな胸、しなやかな腰。

ぷにぷにした赤ちゃん肌で、女の子みたいだった敦の身体しか、
私の記憶の中にはない。

上半身の服を脱いだ敦が、両手で私の胸をつかんだ。



「ヤ……っ!!!!」



ぐにぐにとパン生地でもこねるみたいに、遠慮なく揉まれてる。
やらしく動かされる自分の胸が、自分のものじゃないみたい。



「や……やめっ!……ッ!」



時々、揉む指の間に挟むみたいにして、乳首を触られると、びりびりとした感覚が走る。
腰が浮きそうになるような、まるで電気みたいな感覚が。



「乳首、敏感みたいだね」



鼻の奥が、ツンとした。
どーしてやめてくれないの?
私は、敦のこと嫌いじゃないよ。
敦は、私のこと、もしかして大っ嫌いなのかな。

いっぱい嫌がらせしちゃったから、
いっぱい意地悪しちゃってきたから、
すごくすごく恨まれてたのかな。

だから、止めてって言ってるのにこんな酷いことするんだ。

視界がにじんだ。
ぼやっと白くなった敦の顔が近づいてくる。



「泣きそうになってる」
「だっ……て……やめ、て……ほしい……のに……やだ……やだぁ……っ」
「大丈夫だよ。責任はとるから」
「……せ……?なに……?」



よく聞こえなかった。頭の奥がずきずき痛い。
目の前の光景がうまく処理できずに、涙だけぽろぽろ零れる。

しゃくりあげそうになるのを、ぎりぎりのところで我慢していると、
胸を揉み続けていた敦の手が、両方の乳首をつかんだ。



「イタイッ!いっ!いや、いやぁ……っ!!!」



ちぎれそうなくらい鋭い痛みが走って、私はおびえた。
もう片方の手に、ぎゅっぎゅって下腹を押さえられる。
揉みしだかれてる胸は、形を自在にかえて、信じられないくらい卑猥な動きをしてた。



「あっ、あっ!やめ……っ!あ、押しちゃやだ!や……めっ!!」



お腹を押されるたびに、おしっこが出そうで我慢の堰が切れそうになる。



「ナツ……いい声だね。もっと聴かせて?」



そう言ったと思ったら、お腹を押さえたまま、
今度はさっきとは全然違う、優しい動きで乳首に触れてきた。



「はっく……ぅ……、っ……」



ジンジンと痛かった乳首が違う感触に変わって、痛いよりもむず痒い感じ。
生理現象で、ぷくって乳首のかたさが増して、小さいしこりがコリコリ敦の指で転がされる。



「っ……や……やだ、やだよあつし……も……止めて、解いて……おトイレ……行かせて」



嫌がる私を見て、嬉しそうに、敦は笑った。
敦の唇が胸に近付いてきて、私の乳首をたべる。

その瞬間、びくんって勝手に身体がはねた。

ずずってすする音がして、てらてらとよだれで濡れた乳首に、
敦の歯があてられるのが見える。
じくじくと優しく血管が潰されて、乳首のさきっぽが脈打ってるみたい。



「やだやだやだ……いや……もー……やめ……怖い……敦……こわい……」
「はー…………。……ナツ……俺ね、すごい興奮してる。ナツの泣きそうな顔も、いまの格好も、最高」
「っ……」



敦が何を言ってるのか、もうよくわからなかった。
ぽろぽろ涙がほっぺたを伝って首筋に流れる。
敦の舌がそれを追っかけて首を舐めて、ぷくって膨らまされた乳首に吸いつく。



「まずいな。もうちょっと我慢出来ると思ったけど……」



そう言って敦は、ズボンを脱ぎ始めた。
トランクスは、何かで内側から突っ張ってて、まさかって思ってたら……それが敦のおちんちんだった。

トランクスを脱いだ敦の股間に、赤黒くってグロテスクなものが、おっきく上をむいてた。
ごつごつして血管が浮いてて、てらてら光ってる。

ちっとも可愛くない。
むしろ、怖い。
怖い。

それを、私に入れようって思ってるの?



「びっくりした顔してる。舐めさせたりはしないよ。今日は」



声を失っていた私にそう言うと、私が聞き返す前に敦の手が膝を、
アソコが丸見えになるようにぐいって大きく広げてきた。



「いっ!あ、や、やだ……!はずかしい、はずかしいい!!っ、く、……ふ……!」



ああ、だめ、広げられると力が入れられない。
尿意が、どんどん大きくなる。

敦は無言で、私のアソコに口づけした。
お風呂にも入ってないのに。
全然きれいじゃない、私のそこに。

汚れてくのは敦の口なのに、
むしろ私の方がどんどん汚されていくような気持ちだった。

お遊びで夜、ベッドの中、少しだけいじいじしてみたりしたことはある、
豆みたいにちょこんとあるクリトリス。
子供の時はつるんってなんにも無かったのに、
どんどんいびつでいやらしい形になってるアソコ。

興味本位で小指だけ入れてみたことのある膣。
敦の舌が、くまなく舐めてく。
けど、びくんって体が跳ねるたび、
確実に限界が近づいてくる。



「ふあ、ふぁ……あ、あつし……っ、おね、おねがい、おねがいい、ほ……っほどいて!」



ちゅるちゅるって、クリトリスが吸われる。
執拗に、ずっと、ただひたすら。
優しく、強く、優しく、強く。



「あ……っ、あ、だめ……っ、だめ……で……でちゃう……からぁ……あつし、もうやめ……っ」



全身に力が入って、汗が出てきた。

ちろちろって時々、敦の舌がおしっこの穴をくすぐる。
そのたんびに、決壊しそうになるのを必死に歯をくいしばってこらえた。



「ああっ、あ、く……!く、くぅ…………あ……つしぃ……で、ちゃう、おしっこでちゃうよぉぉ……!!」



ぴちゃぴちゃって水音が何分も、何十分も続いてる。
ひくんひくんって痙攣するみたいに腰が動く。
感じるとか、気持ちいいとか、よくわかんない。
ただ、目の前は白くて、ただその刺激と、出ちゃいそうなおしっこの事でいっぱいだった。

なにかが大きくなる。おしっこが出そう。
がくがくする脚と膨れ上がるナニかに、私は怖くて仕方なかった。

手首を、必死に動かして、なんとかほどけないか試す。
敦の手がお腹を、ぎゅう、って押さえてくる。



「っ!く、ぁ…………、ぁ……っ、ダメ、とめ……てぇ……!ほどいてぇ……!!」



少しでも、下腹に入れてる力を緩めたら、もう、きっと出ちゃう。
なのに敦はまだ、私のクリトリスを、ちゅぱちゅぱって舐めてる。



「も……ゆるしてぇぇっ!!ごめんなさ……っ、ごめんなさいぃぃ……!!」



いままでのこと、ぜんぶあやまるから。
いやだったこと、ぜんぶいって。
だから、もう、ゆるしてあつし。



「ひぁッ、ぁ……ぁぁぁ……!ダメぇぇぇ…………も、もう、もぅ……でちゃ、でちゃうよぉぉ……!!」



も……だめ……
じゅぞぞぞって、すっごくいやらしい音をたてて吸われ続けてるクリトリスがじんじんする。
ひくんっ、ひくんっって、アソコが勝手に動く。
歯が鳴って、心臓がばくばくいってる。
敦の涎なのかなんなのか分からないものが、お尻の方にまでいっぱい垂れてて、
空気にあたってひんやりしてる。



「で……ちゃ……う……!も、もれちゃうよぉぉ……!!あつ、あつし、やめ……!!!」



敦の顔が、ようやく足の間から抜け出た。
ぐいって足首を掴まれて、大きく脚を広げられた。

敦と目が合った。
全部見られてる。
縛られておもらししちゃう、私の顔も、恥ずかしいところも。
おしっこが出てくるところも、涎で濡れたアソコも。



「ふあぁっ!いやっ、や、ぁ、やだやだやだぁぁぁあああ!!ゆるしてっ……!ゆるしてぇぇ……
 ぁっ、あ!!み、……みない……でぇぇ…………ひぁ……ッ、……あっ、
 ふ……ぁっ……あ、あ……っいやああぁぁぁぁぁぁぁっ…………」



チョロッ……チョ……ロッ、ジョ……ジョロロロロロ……って…………音が……

身体中から、なにもかも全部流れて出ていっちゃう……

声が出せない。
ううん、呆けた声を出してる。



「あぁぁぁぁぁぁ…………」



耳に、なんの音も入ってこない。

ちょろっ、ちょろっ、ちょろっ

波打つ身体と一緒になって、おしっこが出たり止まったり。



「ふあっ……あ……あ……ぁぁぁぁぁぁ…………」



頭の中、電源が落ちちゃったみたいに、真っ白。
感覚が、全部切り離されちゃった。
おもらし、させられちゃった。



ちょ、ろ……ろ……



あ……まだ出てる……


それだけ思ったとき、敦の腰が私の脚を割って入ってきた。


ぬぢゅって、濡れたもの同士が触れる感じがして、
熱い……すごく熱いものが、アソコに。



まさ……か……、……あ…………

ぐ……プチチ……ぐちゅっ!!

って、身体の中から、音がした。



「ふ……あ、あっ……!っ!!!!あ!ひ、ああぁぁああんっ!!!」
「っ……ナツ」



真っ白に麻痺してた頭に、引き裂かれるみたいな痛みが後から襲ってきた。
最初に思ったのは、痛みより、ああ……敦に犯されてるってこと。

子供のときの面影なんて一切ない敦のおちんちんが、
私の中に、全部はいっちゃった……。

だって、敦の腰が私の身体にぴったりくっついてるから。
膣の中がいっぱいで、内臓が押し上げられてお腹が張ってる。
ずきずきする痛みが、熱さのような痛みが、呆けた身体と頭に浸み込んでくる。

敦のおちんちんに押されたみたいに、残ってたおしっこがまた出て敦のお腹を汚しちゃった。



「ああっ、あ……あ…………」



霞がかかりっぱなしの脳みそが、
ビクビク脈打つ敦のおちんちんを教えてくれた。



「あ……っ、敦……いたい、いたいよぉぉ……っ」
「けどナツ、自分が濡れてるの気づいてる?」
「……うそ……いたい、……のに……?」
「ほら」



敦の指がアソコに触れたあと、私の目の前に差し出されたれた。
指と指の間に、透明な糸がひいてる。



「ね?」



自分の体の反応が信じられない。
どういうこと……?
舐められて感じたの?
こんな目に合わされて感じたの?
おもらし、したから?



自分が分からず混乱していると、敦の腰がゆるゆると動き始めた。
少しの隙間もないみたいにひりつくのに、
おしっこと、粘液の混じった液体でぐちゃぐちゃいやな音がする。



「いっ……!あ、いたい……、いたいぃ、あつ……し……、く、……ぅ」
「うん……すごくキツイ」
「ふあ……も……お願い……ゆるして……あっく、いじわる……っ、しないで……!」
「ぞくぞくする。ナツの口からそんな言葉聴けるなんて」
「もうやだ……やだぁぁああ、あ、ふぁっ、く、う、ぁぁぁん」



敦の顔がすぐ近くにある。
まじまじとこんなに近くで見たの、いつぶりだろう。
男の人の顔だって、思った。

しゃくりあげる私の涙を、敦の指がすくう。



「なんで?すごくそそるのに。ほら俺の、すごく堅くなってる」
「んぐ、あ、く……ぐじゅ……ずっ……そそ、る……?」



動き続ける敦に馴染んできたのか、痛みが少しずつ和らいてくる。



「そう。苛められて、ぐちゃぐちゃになって、恥ずかしい姿になってるのにすごく、そそられる」



ぼーっとする頭の中に、敦の言葉が染み込んでくる。
いっぺんリセットされたのうみそに、上書きされるみたいに。
倒錯した甘さのある、その言葉が。



「いや、苛められてぐちゃぐちゃになって恥ずかしい姿だから、かな」



最初ゆっくりだった動きが、どんどん速くなってく。
ぐっぷ、ぢゅ、って、お肉が掻き分けられて、敦のが私の中を出たり入ったりしてる。



「く、ぁ……ん……ふ、ふぁっ、ぁ……ひ、あ……い……た……」
「俺に縛られて、怖かった……?」



弱虫だった敦が、力づくで私を縛った。
少しもかなわない、強い力で。



「っ……ん、く、……ん……、こ……こわか、った……あ、あん」
「俺にアソコ見られて、恥ずかしかった……?」



敦の熱いおちんちんが、私の中に入ってる。
女の、私のアソコに。男の、敦のおちんちんが。



「は……はずかし、ぁ……はずかしかった……っく」
「俺が見てる目の前で、おもらししちゃったね」



絶対に見られたくない所を見られた。
ぐちゃぐちゃで汚いのに。ものすごく恥ずかしい事なのに。
なのに、そそるって。



「んくっ!、っ……ふぁ……ん、う、んっ、ぁ……はずか、しい……よぉ……っ」
「こんなに苛めたのに、ナツ、濡れてるね」



繋がってるあそこから、ぐちゅぐちゅってねばっこい音が聞こえる。



「っあ!ふ……ぬれ……?あ……っ、わた、し……感じてる……の?」
「そう。ナツは苛められたのに、感じてるんだよ」



敦の言葉が頭に入ってくる。

身体を起こした敦が腰を動かすと、
ナカのお腹っかわがこすられて、びくってなるところがあった。



「あっ!」
「……っく、締まる。ここ、いいの?」
「ぁふ……、あ……びくってなるぅ……そこ……、あ」
「じゃあ今度はここ、苛めよっか」



そう言って敦が、小刻みにソコを突きあげ始めた。



「ひゃっ、あ!」
「おまけ」



敦の指が、クリトリスと乳首をいじくる。
真っ白だった頭の中はもう、びりびりした電気でいっぱいだった。



「ふあ!あ!……く、ふぁああんっ、ああつ……しっ、やぁ、それ……や……!」
「どうして?」
「あぅ、く……なんか……へん……っ、ね、とめて……あっ、へんになる……っ!」
「大丈夫だよ。どれだけナツがヘンになっても」
「ぁっ、あ……!ひあ……だめぇ……くぅん、あ……っ、あぁぁ!こわい……」
「気持ちいいの間違いでしょ……?」
「ふぁ、きもち、い……?……あ……っ、ふ……ぁ!」



そう、なのかな……?
ぐぢゅっていっぱい音がするのはそのせいなのかな……?
自分でどうにもできない大きなモノがどんどん膨らんでくような感覚。
これが、気持ちいいってこと……?


考えて答えが出る前に、敦の言葉に誘導されるみたいに、
あ……きもちいいんだって回路がつながった。



「あつし……あ、っ!あ……へん……になっちゃうぅ……っ!あ……!
 そこ、だめぇぇ……また、おしっこでちゃいそぅ……になる……!」
「たぶんおしっこじゃないよ。そのまま、感じて。……俺も……出そうだよ」
「ふあっ、あ、や……!あ、だめ、だめぇ、へん、こわい……っああ、!あ」



アソコが、熱い。
脚が痙攣してるみたいに勝手にびくびくしてる。
おっきいナニか。
はじけちゃう……!!!



「ふあ、あ、や……!!こわい……もれちゃう……っ!あ!あ、あだめ……!!だめぇぇぇえ!!」



ぐちぃって、敦のおちんちんが私の膣を思いっきり突き上げた時、全部はじけた。



「あ、ひぁあ、あふ、あぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」



ぴゅっ、ぴゅっ……!って、新しく出てきたおつゆがお尻を伝ってタオルに染み込んでく。



「く……っナツ……!!」



ずちゅって急に抜き取られて、名残惜しいって言ってるみたいにアソコがどきってした。



「ふあぁっ!あ……っ、あ、あつい……あ……でてるぅ……!」



ドクンッ、ビュク、ビュ……ってお腹の上に、敦の精液が出された。
体温より絶対熱いそれがおへそのくぼみに溜まってる。
おちんちんの先から、女の私からは出てこないものが、びっくりするくらいいっぱい出てる。
初めて見る射精にも、精液にも、胸がドキドキした。



「あっ……あぅぅ……コレ……が……あつし……のせーえき……んくっ、ぁ……」
「っ、く、……ナツ……も、出しちゃったね……また……びちゃびちゃ」



眉間に皺を寄せた敦が、微笑みを浮かべながらアソコに手を這わせる。



「ふぁ……ん」
「後で自分でも触ってごらん。……気持ちよかったんだね」
「あ……ふ……。あつし、は……気持ちよかったの……?」
「うん。ものすごく」
「んく……、……じゃあ……いじわる、してたこと……許してくれる……?」



そう言ったら、敦がきょとんとした顔をした。



「ちょっと勘違いしてるね、ナツは。別に昔の事を根に持ってるわけじゃないよ」



今度は私がきょとんとした。



「……ん……どーゆーこと……?ほかにもわたし、……敦になにかしてた?」



なんだかボーっとする頭で、一生懸命考えるけどわからない。
気付かないうちになにかしちゃってたのかな……。



「昔のこととはまったく別の理由で、ナツにこうしたいって思ってたってこと」



ますます分からない……。
根に持ってなくて、だけどこうしたいって思ってた……?
薄明るい色に霞んだ頭のまま敦の顔を見つめる。



「分かんないならいいよ」



なっちゃんにこれ誕生日プレゼント、ってぬいぐるみをくれた時と同じような、優しい顔。
それでも怪訝な顔をしてたら敦が聞いてきた。



「でも、分かんない罰だよ、ナツ。キスしてもいい?」



いい?って聞いてきた。
あ……これは、答えることが罰だ……。
素直に、なることが。



「うん……」



素直になること。
敦を、男の人として見ること。
難しい事じゃ、ないのかもしれない。


こく、と頷く。


あれ……敦の耳……ほんのり赤い。





そうして、敦は私のファーストキスも奪っていった。



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