ライスグラタン 1 from shyrock様

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「え~と~、サツマイモ、ハム、椎茸、サヤインゲン、牛乳、ごま醤油ドレッシングも買ったし、
 お米、塩、それからコショウは、良樹の家にあったし、これで終りかな?
 あ、そうだぁ、お酢だ。たぶんないだろうな~」


 日曜日の午前10時頃、あかねは駅を降りて、車井良樹のマンションに向う途中、スーパーで買物をしていた。
 一人暮らしの良樹は日頃、外食ばかり。
 たまに会う日曜日ぐらいは、あかね自慢の手料理を作ってやりたいと思っていた。
 残業続きの良樹とはほとんど平日はデートができない。
 週に1度会えればいい方かも。
 あかねはまだ19歳で遊び盛り、良樹は7つ上で26歳。
 当然、世間のカップルのように映画、遊園地、ショッピングどこでもいい、遊びに出かけたかった。
 良樹は彼女の気持ちを察して、「外でデートしよう」と誘った。
 だけど、あかねは連日残業続きの良樹の身体を考え、せめて休日はゆっくりと睡眠を取らせてやろうと考えた。

「外でデートもいいけど、今度の日曜日は良樹に美味しいものを作ってあげるよ~」と伝えた。
 良樹も彼女のそんな心優しい申し出を快く受け止めた。
 あかねが若さに似合わずそんな心配りのできる女性であることがすごく嬉しかった。
 良樹はゆっくり眠るどころか、逆に早起きをして、朝から部屋の掃除を行った。
 日頃時間がなく掃除を怠り気味であったため、部屋中に物が散乱していた。
 特に女性に見せたくないようなエッチな雑誌やビデオなどは隠す場所に悩み、クローゼットを何度も開け閉めした。

 窓も大きく開放し、新鮮な空気を部屋に送り込んだ。

 良樹は掃除を終えた後、花屋へ向った。
 そしてあかねの好きなカサブランカを買った。
 別にあかねの誕生日でも何でもない。
 しかし、良樹とすれば、デートに行きたい気持ちを抑えて、
 わざわざ料理をこさえに来てくれるあかねのために、せめて彼女の好きな花を買って部屋を飾ろうと思った。

 午前10時30分、玄関のチャイムが鳴った。
 玄関ドアを開けるとそこには、黄色い半袖のティーシャツに白のミニスカートと言う
 カジュアルな姿のあかねが立っていた。
 あかねは入るやいなやすぐにカサブランカの香りに気がついた。


「ふわ~っ!すごくいい香り~!カサブランカねぇ?
 嬉しい~!ねえ、もしかして良樹って男なのにいつも花を飾っているの?」
「ばか、そんなわけないじゃないか。花を自分で買ったのは生まれて初めてだ」



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